Blue Field

デザイナーとして働く2児の父

駅で見かけた優しい他人

何気なく利用している電車ですが、日常生活において全くの他人同士がこれだけ接近する空間も珍しいのかと思います。人も多ければ、それだけたくさんのドラマにも遭遇します。そんな駅や車内で遭遇した心温まる実体験を3例をほど紹介します。
 
一つ目は、15年くらい前の出来事だったと思います。ある駅のホームで電車を待っていたときのことです。学生カバンを肩に引っ掛けて大股で歩いてくる高校生男子。『不良』とまではいかない感じの少し硬派な雰囲気でした。その高校生が歩きながらカバンを持つ手とは逆の手で、ホームに設置されたエレベーターのボタンを「バンッ」と乱暴に叩きました。ボタンは押されましたが、彼はエレベータを待つわけでもなく僕の前を通って出口のあるホームの端へと歩いて行きました。「感じ悪いな」するとその後から、両腕で松葉杖をついた中年男性がやってきました。その松葉杖の中年男性がエレベーターの前に立つと同時にエレベーターの扉がスッと開いたのです。高校生は後から来る松葉杖の男性がエレベーターを使うだろうと予測し、それを待たなくていいように、もしくは杖をつきながらボタンを押す不便さを考慮し、先にボタンを押しておいた...かは定かではありませんが僕はそう解釈し感心しました。

二つ目は、これも10年以上前のことだったと思います。電車の中である若者が初老の女性に席を譲ろうとしました。「どうぞ座ってください。ボクは降りますので」その初老は、若者にお礼を言って座席に座り、若者は次の停車駅で出て行きました。でも、僕はその若者の行動を見逃しませんでした。なんとその男性は同じ列車の隣の車両に乗車したのです。皆さんも経験ありませんか?席を譲った後のあの「少し気まずい空気」照れくさいような、その場から離れてしまいたくなるあの感じ。譲った相手と目が合ったり、下車するときに「どうも」と会釈をされたりするあれ。きっと若者は、席を譲った人にそんな気遣いをさせないよう車両を変えたのだと思い、可能な限り僕も真似しています。
 
三人目は、実際に我が子が受けた親切です。混み合う電車の中で立ちながらグズリ出した息子の目線に高校生くらいの男性のリュックがありました。そのリュックには何やら変わった人形の付いたキーホルダーがぶら下がっていました。電車に揺れる人形が気になってしょうがない息子がそのキーホルダーを触りはじめました。僕は「ダメ!」だと注意しました。しかし、気になって仕方ない様子でその人形を引っ張り出した息子。リュックの男性もそれに気付いたようですが、嫌な顔一つせず「いいですよっ」と言ってくれました。そして、客が少なくなったところで、自分のリュックからキーホルダーを外して息子に「いる?」と言ってくれたのです。

このように友人でも知人でもない人との触れ合いがあるのは、互いの距離が近い都会の電車ならではの光景ではないかと思うと満員電車や通勤ラッシュもまんざら嫌なことばかりではありませんよね。